アパート等の外壁工事を行った時に、それが資産に該当するのか修繕費に該当するのか判断に困ることが多々あります。
資本的支出とは「固定資産の使用可期間の延長又は価額の増加をもたらす等の積極的な支出」のことで、修繕費とは「固定資産の通常の維持管理及び現状回復のため等の消極的な支出」をいいます。
建物全体の外壁工事を行うと数百万、建物自体が大きければ数千万単位の支出となる場合があります。内容は足場設置、洗浄、外壁の生じたヒビの修復、下塗り、本塗り、足場解体と複合的であり、工事契約書を見てそれが使用可能期間を延長したり、価値を高めたりする工事を含んでいるか否か、簡単に判断出来ません。
また塗料等は新技術が導入され以前より耐久性が増し、これまでより使用期間を延長してるのではないかと考えると、資本的支出に該当する部分があるかも?と思ってしまいます。
ここで判断基準になるのが国税庁の質疑応答事例です。
「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」
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1 修繕費と資本的支出
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額は修繕費となります(法基通7-8-2)。一方、法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は資本的支出となります(法令132、法基通7-8-1)。
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2 本件へのあてはめ
蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。 - (国税庁HPより引用
- https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/12.htm)
国税庁は、蛍光灯型LEDランプに取り替えても建物付属設備の価値は高まっていないので修繕費ですと言ってます。これを外壁塗装に置き換えると、新しい塗料は防水等の効果が高まっているかもしれないが、建物自体の価値を高めたとまではいえないと読めそうです。
工事内容を良く確認した上で、上記の質疑応答事例等と照らし合わせて修繕費か資本的支出が判断しましょう。